こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。

マウスピース矯正では、歯を効率的に動かすために必要に応じて歯を削る処置が行われることがあります。歯を整える量はごくわずかですが「歯を削るの?」と不安を抱く患者さまも多いでしょう。
この記事では、どんなタイミングで歯を調整するのか、削る際に注意したい点、そして実際の施術手順をわかりやすくご紹介します。歯を削ることに不安がある患者さまは、ぜひ最後までご覧になって不安を解消してください。
マウスピース矯正とは

透明なマウスピース型の装置を歯に合わせて作製し、装着することで少しずつ歯を移動させる矯正方法です。ワイヤーやブラケットを用いないため、口元に装置が目立ちにくいメリットがあります。
取り外しが可能なので、食事やブラッシング時に装置を外せます。食べ物が引っかかりにくく、歯ぐきへの負担も抑えられるという特徴があります。通院は通常1~2カ月に1回のペースとなり、忙しい患者さまのライフスタイルに合わせやすい点も魅力です。
治療前には歯科クリニックで精密検査(口腔内スキャンなど)を実施し、歯列と噛み合わせを詳細に診断したうえで、段階的に交換する複数のマウスピースを作成します。計画通りに装着・交換を繰り返すことで、理想の歯並びへと導いていきます。
マウスピース矯正中に歯を削ることがある?

マウスピース矯正中に、歯を削ることがあります。IPR、またはディスキングと呼ばれる処置で、歯の側面をわずかに削り、口内にスペースを作り出します。
歯を削る理由
マウスピース矯正において歯を削る理由は、以下のとおりです。
スペースを確保して歯を並べる
歯列にゆがみやがたつきがあると、理想の並びに移動させるための物理的余地が不足します。抜歯を回避するケースでは、各歯の側面を0.1~0.25mm程度ずつ丁寧に削り、隣接面に小さな隙間をつくります。
これにより、歯がスムーズに移動しやすくなり、全体のバランスが整いやすくなるのです。処置後は研磨を行い、削った部分を平滑に仕上げるため、歯ぐきやブラッシングへの影響も最小限に抑えられます。
幅や形を細かく整える
歯が極端に縦長であったり、隣の歯と比べて幅が大きかったりする場合、削合でサイズを調整できます。歯の形や幅を微調整することで、より美しく見える歯列を目指せます。
重なりやねじれを改善する
部分的に重なったり、ねじれたりして生えている歯は清掃が難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。ディスキングを活用すると、重なり部分に隙間を作れるので、回転や移動をスムーズに行えるようになります。
これにより歯列が整うだけでなく、ブラッシングのしやすさも向上し、長期的な口腔衛生の維持につながります。
矯正治療において歯を削るメリット

矯正治療において歯を削るメリットは、以下のとおりです。
抜歯を回避できる可能性が高まる
歯の側面をわずかに削ることで、歯列に歯を移動させるスペースが生まれます。これにより、健康な歯を抜かずに整った歯列を目指せるようになるのです。抜歯に伴う身体的・精神的負担を軽減することにも繋がります。
治療計画どおりに歯を移動させられる
スペース不足のまま歯を無理に動かそうとすると、マウスピースが適切にフィットせず治療期間が延びることがあります。ディスキングによって計画的に隙間を確保すれば、マウスピース交換のタイミングを守りやすく、予定どおりに矯正を進められる可能性が高まります。
かみ合わせのバランスを整えやすくなる
歯の幅や位置が不揃いな場合、上下の歯がかみ合わず顎関節に負担がかかることがあります。ディスキングによって歯を微調整すると、隣接歯との干渉が減り、上下の歯列が自然にフィットする可能性が高くなるでしょう。
その結果、正しいかみ合わせが実現しやすくなり、咀嚼機能や発音、ブラッシングのしやすさも向上します。顎への負担軽減にもつながり、長期的な口腔健康維持に役立ちます。
自然なアーチと美しい歯列を実現
ディスキングでは、歯の幅や形を細かく調整できます。また、角張った部分を丸めることで、ブラッシング時に頬粘膜や歯ぐきを傷つけにくくなるメリットも得られます。
後戻りを抑えて安定させられる
歯を移動させたあと、歯列は元の位置に戻ろうとする性質があります。ディスキングにより歯の側面を平らに仕上げると、歯同士の接触が点から面に変わり、歯列全体の安定性が向上します。
その結果、治療完了後の後戻りリスクが低くなり、長期的に理想の歯並びをキープしやすくなります。
歯を削る場合の注意点

歯を削る場合に注意するポイントは、以下のとおりです。
削合量には上限がある
ディスキングでは歯の側面を削ってスペースを確保しますが、1歯あたり合計で最大0.5mm程度の削合が安全域とされています。それを超えるとエナメル質が薄くなり、内部の象牙質が露出して知覚過敏を招いたり、虫歯の進行リスクが高まったりします。
削った歯質を元に戻すことはできないため、削る前に口腔スキャンや模型で精密にシミュレーションを行い、必要最小限の量にとどめることが大切です。
経験豊富な歯科医師による施術が必須
歯面を均一に、かつ計画どおりに削る作業は非常に繊細です。少しでも角度や圧力が誤ると、歯の形態不良や咬合のズレを生じさせかねません。
ディスキングに慣れている歯科医師なら、専用ツールと適切な研磨技術で滑らかな仕上がりを実現できます。クリニックを選ぶ際は、症例数や症例写真を確認し、ディスキング処置の実績が豊富な歯科医師を探しましょう。
適応不可となるケースを把握する
すべての患者さまにディスキングが適応できるわけではありません。もともと歯が小さい、エナメル質が薄い、あるいは歯の間にひび割れや虫歯がある場合は、削合によって歯質がさらに損なわれる恐れがあります。
これらのケースでは、ワイヤー矯正を併用したり、抜歯を含む別の治療プランを検討したりしなければなりません。治療前にレントゲンやCTで歯の状態を詳細に診断し、リスクを評価したうえでディスキングをするかどうか、慎重に検討することが大切です。
歯を削るのはあくまで補助手段
ディスキングによってスペースを生み出すことは可能です。
しかし、歯列のずれが重度だったり、顎骨の形状に問題があったりする場合は、ディスキングだけでは理想的な並びを実現できないことがあります。マウスピース矯正の効果を最大化するには、ディスキングを含めた総合的な矯正計画が必要です。
必要に応じてワイヤー矯正や顎間ゴム、場合によっては外科的処置を併用し、各患者さまにあった方法を柔軟に選択していきましょう。
どうやって歯を削る?

歯の削り方は、以下のとおりです。歯を削る量などに応じて、どの方法で削るかを選択します。どの削合方法でも、最後は研磨ペーストとブラシで仕上げることで、ザラつきや着色を防ぎます。
手動で微調整
手用のストリッピングファイルは、細長い金属製ヤスリのような形状で、ハンドルを握って歯と歯の間に挿入し、0.1mm単位でエナメル質を薄く削ります。手動なので振動や音がほとんどなく、患者さまが緊張しやすいケースでも対応可能です。
回転切削バーで効率的に削合
タービンに装着する切削バーは、多彩な形状と粒度があり、太さや先端形状を使い分けてエナメル質をスピーディーに削ります。フットコントローラーで回転数を調整し、過度な熱や振動が起きないよう注意を払います。
咬合バランスを常に確認しつつ、左右均等に0.1~0.25mmずつ削り、治療計画に沿ったスペースを効率的に確保します。
ストリッピングディスクで正確な面修正
ストリッピングディスクは、円盤状の薄いディスクをハンドピースに装着し、回転させながら歯面を滑らかに削ります。複数の直径や厚みがあるため、接触面の広さや形状に応じて適切なサイズを選択可能です。
まとめ

マウスピース矯正では、ディスキングと呼ぶ歯の側面削合を行うことがあります。処置前に口腔スキャンや模型で必要量を測定し、歯ぐきや軟組織を保護材で守りながら均等に削合します。
削合後は研磨で滑らかに整え、ブラッシングしやすい状態を保ちます。これにより、抜歯を回避しつつ治療計画どおりに歯を動かし、後戻りを抑えながら自然な歯並びへと導けるでしょう。
マウスピース矯正を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みを癒すだけでなく生活の質を向上できる歯科治療を目指して診療を行っています。小児矯正・小児歯科や成人矯正、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな治療を行っています。