こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。

近年、目立ちにくく取り外し可能なマウスピース矯正が人気を集めていますが、すべての方に適応できるわけではありません。歯並びの状態や骨格の特徴によって、マウスピース矯正では十分な治療効果が期待できないケースもあります。
本記事では、マウスピース矯正が困難とされる具体的なケースと、そのような場合の代替治療法について解説します。
目次
マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、透明な樹脂製の装置を使用して歯並びを整える治療方法です。ワイヤー矯正とは異なり、目立ちにくく取り外しが可能な特徴があります。
はじめに歯型を精密にスキャンし、理想的な歯並びに向けて段階的に歯を移動させる計画を立てます。治療計画に基づいて、複数枚のマウスピースを製作し1〜2週間ごとに新しいものに交換していくことで、少しずつ歯を動かしていく仕組みです。
マウスピース矯正の最大の利点は、装置が透明で審美性に優れている点でしょう。営業職や接客業・学生など、人前に出る機会が多い方でも、周囲に気づかれることなく矯正治療を進められます。
また、食事や歯磨きの際には取り外せるため、食事の制限がなく口腔衛生を保ちやすいというメリットもあります。治療期間は症例によって異なりますが、軽度から中程度の歯並びの問題であれば、一般的に6か月〜2年程度で改善が期待できるでしょう。
1日20時間以上の装着が必要となるため、自己管理がスムーズに治療を進めるポイントとなります。最近では、デジタル技術の進歩により治療前にシミュレーションで最終的な歯並びを確認できるようになりました。
これにより、治療のゴールが明確になりモチベーションの維持にも繋がります。
しかし、すべての症例でマウスピース矯正が適応できるわけではありません。マウスピース矯正を検討する際は、カウンセリングを受けて相談するようにしましょう。
マウスピース矯正の適応症例

マウスピース矯正は適応症例に限りがあります。以下に、マウスピース矯正の適応症例を紹介します。
軽度から中程度の歯の乱れ
マウスピース矯正は、軽度から中程度の歯並びの問題に対して高い効果を発揮する治療法です。具体的には、前歯のわずかな重なりや隙間、軽度の出っ歯・受け口などが主な適応症例となります。
マウスピースの持つ緩やかで持続的な力によって、効率的に改善することが可能です。従来のワイヤー矯正と比較して、治療中の見た目が自然で、日常生活における制約も少ないためストレスなく治療を進められます。
叢生の改善
叢生とは、歯が重なり合って生える状態のことを指します。軽度から中程度の叢生であれば、マウスピース矯正による治療が十分に期待できるでしょう。
マウスピースは、歯1本1本に適切な力を加えることができるため、複雑に重なった歯並びを段階的に整えられます。
空隙歯列の治療
空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間があるすきっ歯の状態を指します。歯と歯の間にできた隙間を閉じる動きは、マウスピースが得意とする治療のひとつです。
前歯の中央に生じる正中離開はもちろん、他の部位に生じた小さな隙間なども適切な治療計画の下、マウスピース矯正によって改善できます。治療期間も短く、患者さまの負担も軽減されることが多いです。
軽度の咬み合わせの問題
軽度の開咬や過蓋咬合などの咬み合わせの問題についても、マウスピース矯正での改善が期待できます。開咬は前歯が咬み合わない状態、過蓋咬合は上の前歯が下の前歯を深く覆う状態を指します。
これらの症状が軽度である場合、マウスピースによる歯の移動によって適切な咬み合わせにすることが可能です。
後戻りの修正
過去に矯正治療を受けた方で、年月とともに歯並びが元に戻る後戻りの症状についても、マウスピース矯正は有効な治療法となります。既に一度矯正治療を経験している歯は動きやすいため、マウスピースによる再治療で理想的な歯並びを取り戻せるケースが多いです。
マウスピース矯正ができないケース

マウスピース矯正は希望するすべての方が受けられる治療法ではありません。以下に、マウスピース矯正ができない症例を紹介します。
重度の骨格性不正咬合
マウスピース矯正では対応が困難なケースとして、骨格性の不正咬合が挙げられます。骨格性の不正咬合とは、あごの骨格そのものに問題があるケースで、単純に歯を移動させるだけでは根本的な解決に至らない状況を指します。
上あごと下あごの前後的な位置関係に大きなズレがある場合や、あごの大きさや形に著しい異常がある場合などです。これらのケースでは、外科的矯正治療と組み合わせた治療が必要となることが多く, マウスピース矯正単独では十分な治療効果を得られません。
重度の叢生や八重歯
歯が大幅に重なっている重度の叢生や、歯が大きく外側に飛び出している八重歯なども、マウスピース矯正では対応が困難になるでしょう。歯を大きく移動させる必要があったり、抜歯を伴う治療は歯を大きく移動させる必要があります。
マウスピース矯正は、歯に加えることのできる力が限られているため、大幅な歯の移動や回転を要する症例には適していません。
歯周病がある場合
歯周病により歯を支える組織が弱くなっている場合も、マウスピース矯正ができないケースに該当します。矯正力を加えることで歯根が短くなったり、歯周組織にダメージを与えたりするリスクが高まります。
治療前の検査により、歯根の状態や歯周組織の健康状態を把握したうえで、マウスピース矯正の適応の可否を慎重に判断する必要があるでしょう。歯周病がある場合は、まず歯周治療を優先し、十分に改善してから矯正治療を検討することが重要です。
埋伏歯や先天的欠如歯がある場合
埋伏歯とは、歯茎の中に埋まったまま萌出しない歯のことを指します。また、先天的欠如歯とは、生まれつき歯の数が足りない状態です。このようなケースでは、マウスピース矯正だけでは適切な治療をおこなうことができません。
埋伏歯の場合は外科的な処置による開窓・牽引が必要となり、先天的欠如歯の場合はインプラントやブリッジなどの補綴治療を組み合わせた総合的な治療計画が必要になります。
重度の開咬や過蓋咬合
軽度の開咬や過蓋咬合はマウスピース矯正の適応となりますが、重度の場合は治療が困難になります。前歯部の開咬が大きい場合や、過蓋咬合により下の前歯が見えないほど深い咬み合わせの場合は適応外になるでしょう。
重度の症例では歯の移動だけでなく、あごの成長や機能の改善も必要となることが多く、マウスピース矯正のみでは対応できない可能性が高いです。
自己管理ができない場合
マウスピース矯正は、ご自身でマウスピースの着脱をおこない1日20時間以上の装着が必要な治療法です。そのため、治療に対する理解や協力が得られない場合は、十分な治療効果を発揮することができません。
子どもの場合、マウスピースの管理や装着時間の確保が困難なことがあり、その場合は他の治療法の選択を検討する必要があります。
マウスピース矯正が適応とならない場合は

マウスピース矯正が適応でなくても歯並びや噛み合わせを整えられる可能性はあります。以下に、マウスピース矯正が適応とならなかった際の治療法を解説します。
ワイヤー矯正
マウスピース矯正が適応とならない場合の選択肢として、従来のワイヤー矯正があります。ワイヤー矯正は、歯に直接ブラケットという装置を接着し、ワイヤーの力で歯を移動させる治療法です。
マウスピース矯正と比較して、より強い力を継続的に歯に加えることができるため、重度の不正咬合や複雑な歯の移動にも対応可能です。現在のワイヤー矯正は、審美性も大幅に向上しています。
また、舌側矯正は歯の裏側にブラケットを装着するため、外から見えず審美性を保ちながら治療を進めることが可能です。
外科的矯正治療の適応
重度の骨格性不正咬合の場合は、外科的矯正治療が適応となることがあります。あごの骨格そのものを外科的に修正し、理想的な咬み合わせと顔貌を獲得する治療法です。
外科的矯正治療は、術前矯正・手術・術後矯正という段階を経ておこなわれ、治療期間は長期にわたりますが根本的な問題解決が可能です。国が指定する疾患に該当していれば、保険適用となるケースも多く経済的な負担も軽減されることがあります。
補綴治療との組み合わせ
先天的欠如歯がある場合や、歯の形態に問題がある場合は、矯正治療と補綴治療を組み合わせたアプローチを検討してみると良いでしょう。矯正治療により歯並びを整えた後、インプラントやクラウン、ブリッジなどの補綴物により機能面と審美性を回復します。
治療を組み合わせることで、単独の矯正治療では達成できない理想的な結果を得られます。
まとめ

マウスピース矯正は優れた治療法ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。重度の叢生や骨格性の問題、歯根の大幅な移動が必要なケースでは、ワイヤー矯正や外科的矯正治療が選択肢となるでしょう。
矯正治療は、口腔内状態や生活スタイルを総合的に考慮し最適な治療法を選択することが重要です。マウスピース矯正ができない場合でも、他の方法で治療できる可能性があります。
マウスピース矯正を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みを癒すだけでなく生活の質を向上できる歯科治療を目指して診療を行っています。小児矯正・小児歯科や成人矯正、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな治療を行っています。